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| 気候も安定し、庭仕事の繁忙期まっただなかであります。やらなければならない作業は目白押しですが、とりわけ雑草に苦戦するガーデナーも多いのではないかと思います。実は私もその一人です。一日また一日と大きくなる新芽に感嘆しつつも、その隣でいつのまにか我が物顔に育っている雑草を見ると溜息が混じります。 |

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庭というのはまったくの自然と異なり、自然に手を入れてあるいは自然を模倣して創り上げるものです。ですから、一度手を入れたものには責任を持って手を入れ続けなければなりません。それが庭という管理された自然の存続を可能にする、たったひとつの方法であり、つまりメンテナンスの意味となります。私たちガーデナーは、それを当然の義務あるいは権利としてメンテナンスに勤しんでいますが、そうは言っても、それには実にさまざまな作業があります。1に除草、2に植えた植物の管理-これには、水やり、病害虫の管理に続き、植物が大きくなったら剪定をしたり支柱を立て、花が咲いたら花がら摘み、切り戻しなどが続きます。その他、施肥、球根の掘り上げ、秋の落葉掃き、防寒対策、鉢上げ、土壌改良などなど・・・いつまでも述べ続けられそうな量であります。そして3として、庭にあるデッキやベンチといった構造物や灌水などの器具の修理、メンテナンス、再プログラミングという作業もあり、その他4としては、犬猫対策などが考えられます。
メンテナンスは終わりのない作業なので、やる前は面倒に感じがちです。しかし、いざ始めると喜びを与えてくれる、まちがいなく庭仕事の醍醐味であります。結果として庭が美しく維持できるだけでなく、自らのストレス解消やリフレッシュの効果もあり、一石何鳥ものやりがいのある仕事です。しかしそこまで分かっていても、時にメンテナンスを減らしたいのも人情でありましょう。特に今の時期に雑草を目の前にすると「ローメンテナンス」という言葉が頭をよぎります。今年はこのコラムで「安心安全の庭づくり」を語っていきたいと述べましたが、手間も少なく美観が維持できるというのも安心のひとつ。そこで、ローメンテナンスガーデンのポイントを幾つか紹介しましょう。
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ローメンテナンス(管理軽減)ガーデンというのは、メンテナンスを余り必要としない庭のことを言います。庭で必要なメンテナンス作業を再掲すると、
除草
植物の管理
構造物の管理
その他(ケースバイケース) |
となるので、それぞれの項目にローメンテナンス対策を講じることで、おのずと、ローメンテナンスガーデンができあがることになります。できれば、新規で計画時からローメンテナンスを念頭に庭を組み立てるのが理想ですが、既存の庭であってもできる範囲でリニューアル(再組立)をしていくとよいと思います。
除草対策
雑草とは何であるのか、道ばたの草でも美しい花の咲くものがあり、定義に迷うところです。敢えて言えば「ガーデナーにとって好ましくない場所に生えているもの、それがすなわち雑草だ」というのが適当な定義ではないでしょうか。雑草が生えるのはなぜなのかーそこに地面(スペース)があるからだ。というわけで、禅問答のようですが、空いた地面が少なくなれば、雑草も少なくなるのは自明の理であります。
ではなぜ空いた地面が存在するのか。それは、庭が未成熟である場合が多いようです。庭という体裁が整っていないからだと言い換えてもいいでしょう。ベランダのプランターにぽつんぽつんと植えられた草花。枯れたままのものもあり、プランター内には何処から来たのか雑草がいっぱいーというのもこれにあたります。
すなわち、庭というひとつの単位に対して、植栽された(意図的に置かれた)緑の量が少ないときに、雑草が繁茂する余地がでてくるということです。植えられた数自体が不足していたり、緑が幼い苗で成熟するのにもう少し時間がかかるような場合に、空きスペースができてしまい雑草が入り込むのです。
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| 東京の庭 |
長野の庭 |
例えば、私の東京の庭は全体の骨格が整っていたので、管理不足から雑草が生えてはいても、総じて庭を脅かすものではありませんでしたが、長野の庭は現在が雑草の空き地を庭へと変換させる過程にあり、まだまだ雑草のほうが優勢なのです。
雑草対策として最も効果的なのは、雑草が生える地面を減らすことですが、それには次のようなの方法があります。
| 雑草対策 |
デッキやテラス・通路・駐車スペースなどの舗装面を増やす
植栽地にマルチングをする
グランドカバーや低木の量を増やす |
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土がむき出しの地表面を少なくしてデッキやテラスを増やせば、雑草が減るのはまちがいのないところです。難点は、初期費用がかかることと見た目が殺風景になるおそれがある(緑地が減る)こと、硬質舗装面から雨水が流出することなどが挙げられます。このうち費用についてですが、最近ではDIYも盛んになり日本でも日曜大工的に自身でデッキなどを作るのが当たり前になってきたので、暇を見つけて自らトライという解決もできると思います。プロ仕上げにこだわる場合は、それ相応の費用が必要ですがそれも一策。この際なので住まい手自身のアイデアも組み込んで、デッキやテラスで少し庭をグレードアップするのも良いことだと思います。庭に愛着が湧きますし、雑草が驚くほど減ります。
次に、雑草が減るのは良いのですが、硬質舗装面は、無機質に味気なく野暮に見えることが多いのも事実です。この解決策としては、例えば、デッキやテラスに花や低木のコンテナを配置したり、垂直面をつる性植物で緑化して緑量を確保したり、舗装の目地に植栽するなどのあらゆるデザイン的配慮(アイデア)が挙げられます。これはデザイナーや家人のセンスでいかようにも解決できることです。
最後に、雨水流出への配慮ですが、これは舗装を浸透性の材料にしたり、目地の工夫をしたり、舗装面を流出する水を植栽地へと活用する策を用いることができます。日本ではまだ馴染みのないことなので、流出雨水の管理とその重要性については別の機会にお知らせできればと思います。
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雑草を減らすには、地面に、細かく砕いたウッドチップや樹皮、バーク堆肥などでマルチングをすることも有用です。マルチには、雑草の種子が混じるおそれのない材料を用いて、そし厚さは薄いと地面に潜む雑草が伸びてきてしまうので、少なくとも5cm以上にします。こうするとマルチ下の雑草は日光が十分に届かないため大きくならずにすみます。精力旺盛な雑草の中には、それでもマルチの層を突き抜けて出てくるものもありますが、その場合の除草は比較的簡単に抜けるようです。いいことずくめのマルチのようですが、なかなか一市民として手に入れるのは、まだまだ難しいようです。バーク堆肥は市販されているので中では利用しやすいですが、最初虫がややよってくることや、多量に使うときには費用がネックです。また、周囲に雑草が繁茂する空き地などがあると雑草の種が飛んでくるとよりよい用土にもなってしまいます。マルチングについては全体にもう少し利用しやすい環境になれば良いと思います。 |
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空いている地面が少なくなるように、グラウンドカバーや低木で地面を埋めるのも一案です。グラウンドカバーと種別される植物はまさにこのような時のためにあるもので、地被植物ともいい、地面を覆う性質のあるものをこの種類に入れています。緑化は除草よりも少々時間がかかり迂遠と思われるかもしれませんが、長期的に見れば、雑草対策として有効です。これら植物は、最初からぎっしりと密に植えずに、苗の生長に伴う周囲スペースの確保が必要ですが、それでも数が少なすぎると、成熟するまでに、空いた地面でより多くの除草手間が必要となります。
一般に、小さな草花で10〜15cm、中位のもので30〜50cm程度、より大きなもので1mかそれ以上と、植物の生長に応じた適切なスペーシング(間隔あけ)をして苗を植えるようにします。この2つの植物のより詳しい活用は次の項目で述べます。
ローメンテナンス的植物の管理
その庭がローメンテナンスであるか否かは、植えられる植物に依存します。そこで第一に、ローメンテナンスガーデンで用いる植物の大前提をお伝えすると、次の3つになります。
| 植物選択の大前提 |
草花は減らす
低木とグラウンドカバーは増やす
芝生は減らし形を決める |
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この二者択一がローメンテナンスガーデンの第一歩となります。夢と現実の直面とも言える選択です。なぜならば、草花ばかりの庭は、管理の手間が増えて頻度が上がるために、経験者やよほどの意思がある方を除いては、あまり得策ではないからです。草花は、個体が他の植物と比べると小さい物が多いので、水不足や環境変化によるストレスに影響されがちであり、また、花を楽しむものであるが故に、咲き終わった花をそのまま付けておいたり、野放図に育て放しにしていると、どうしてもそこに目が行き、粗が目につきやすくなるのです。さらに、さまざまな品種を数多く取りそろえれば取りそろえるほど、ちょっとした管理の差が積み重なるので、フラワーガーデンというのは、いつもどこかで管理が必要な、それでいて怠ればなんとなくあか抜けない、雑然としたものに陥ってしまいがちなのです。
そういった前提の中で、ローメンテナンスなフラワーガーデンというものが無いわけではありません。詳しくは別の機会に単独で述べることにし、ここには原則を記します。
| ローメンテナンスフラワーガーデン |
緑の背景を整えた上で草花のボリュームを出す
低木などのローメンテナンス植物と組み合わせる
相対的にローメンテナンスな草花を用いる |
以上の3つの原則をひとつあるいは複数実施することで、フラワーガーデンにしてはローメンテナンスなものを作ることができます。
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ローメンテナンスガーデンの目標は、「庭の美観を保つ」ことであり、誰が見ても「庭の体裁がとれている」ということであります。庭の美観を保つということは具体的には、庭の緑の量を保ちながら、庭が荒れた雰囲気のないように保つことであります。
庭の体裁には見た目以上の意味があります。アメリカで以前、中産階級以上の家に青々として刈り込まれた美しい芝生が流行ったのは、管理手間のかかる芝生を私たちはこれだけ綺麗に維持する(時間的あるいは金銭的)余裕があるという誇示でありました。庭は家を映す鏡であり、美しく維持された庭は家族の心映えやゆとりを示し、美しく維持された公園や街路のような公共施設であるならば、街の品やゆとりを私たちは感じ取ります。それほど体裁=美観=見た目は大事なのです。これをできる限り少ない労力で維持しようとするのがローメンテナンスガーデンです。その中心は、木と地被植物になります。いずれも花を楽しまないわけではありませんが、木であれ草であれ、花を愛でる種類は一般に(前述の草花しかり)手間がかかることが多いのです。そこで花は「おまけ」程度に考えて、それよりも庭の「緑の量と質」を保つことに重点を絞ると、木やグラウンドカバーが主役の庭になってくるわけです。
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木には、高木性の樹木と低木がありますが、ここでは低木に的を絞り解説しましょう。なぜならば、ごく普通の庭では高木よりも数的に優位を占めることが多く、緑の量に影響を与えること、低木とグラウンドカバーの用い方には共通点が多いこと、また、草花以外の美として特徴を知り生かすこと、などいずれもがローメンテナンスガーデンにつながるからです。両者を上手く活用するには、その魅力を如何に引き出すかにありますが、その際に注目すべき点は、以下の3つとなります。
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まず丈夫さについてですが、ローメンテナンスにするために、丈夫で性質強健な植物を選ぶことが必要です。病気にもストレスにも強ければ、管理をしなくとも美観を維持することができるからです。丈夫な低木とグラウンドカバーの例を幾つか挙げておきます。
| 植え放しでも育つ丈夫な植物の例
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| 低木 |
アベリア、シモツケ、セイヨウイワナンテン、ガマズミ、ハコネウツギ、プリペット、ミヤギノハギ |
| グラウンドカバー |
ギボウシ、クリスマスローズ、ツワブキ、ヒマラヤユキノシタ、フッキソウ、ヤブラン、リュウノヒゲ |
この他に、状況に応じて耐性があるものが求められます。例えば、ある都市部の環境では、煙害に強いものや大気汚染に強いものが求められ、ある海岸部の環境では、耐潮性(潮風に耐性のあるもの)が求められ、また、屋上緑化のような環境では、乾燥に強いものが求められるといった具合です。
| 大気汚染に強い木の例 |
| オオクラサキツツジ、ガクアジサイ、サツキツツジ、チョウセンレンギョウ、ハイビャクシン、メギ |
| 耐潮性のある植物の例 |
| 低木 |
サツキツツジ、シャリンバイ、トベラ、ハマヒサカキ、ユキヤナギ |
| グラウンドカバー |
アルメリア、アガパンアウ、キチジョウソウ、キンロバイ、マツバギク |
| 耐乾性のある植物の例 |
| 低木 |
アベリア、シャリンバイ、トベラ、ナワシログミ、ハナズオウ、ボケ |
| グラウンドカバー |
イチハツ、コウライシバ、セダム、ニューサイラン、リュウゼツラン、リュウノヒゲ |
まだまだ沢山の状況があると思いますが、植物の性質について学習をするのに良い方法は、日頃から街や住宅地にある植物について目を留めておくことです。植えたい環境と似た環境で育つ植物を知っておくこと、例えば、日陰に育つ植物を街路などで見たら、必ず図鑑で調べて名前と性質を確認し、自らの日陰の庭に役立てるーといった方法は、地道ですが確実にあなたの植物に対する実用知識を増やしてくれることでしょう。植物は、適材適所に植えられていれば、病害虫や環境ストレスを受けずにすんだり、受けても軽微な被害ですむことが知られています。生育環境を知ることは、ローメンテナンスガーデンの根本の精神であります。
次号では続いて、低木とグラウンドカバーの色、常緑性などと共に、ローメンテナンスガーデンの核心に迫ります。
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