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第83回 変化ある庭 バックナンバー
 梅雨のさなか、思うように庭仕事も進まない日々です。こんなときこそ新しい計画を練ってみたらいかがでしょうか。今回のテーマは変化です。庭の中にいろいろな形の変化を与えてみることにします。

庭はどこかに秘密を持っていたほうがいい。それも少しではなく沢山…
という考えに沿って、ひとつは、一見した風景と近づいたときの風景とが異なる演出をいくつか考えました。そして、もうひとつは、普段見えていないものを見るということも考えてみました。
イメージ
ウォークスルーボーダー
イメージ門から玄関までの道や庭の中の小道のような、日々利用する通路に沿って植物が植えられている光景をウォークスルーボーダーといいます。私たちはその前を歩いて通ることができるボーダー花壇のことです。こうした場所には、ぜひ、特別な植物を植えてみましょう。
特別な植物のひとつは、香りのする植物のことで、もうひとつは繊細な枝葉を持つ植物のことです。
香りある植物
イメージ 香りは私たちの嗅覚に訴えかけます。花の色や形は視覚に訴えかけてくれますが、そこに香りも加わえてリラックスできる空間を作りだしましょう。樹木ならば、バイカウツギ、フェンスやパーゴラのような空間ならば、イングリッシュローズ、ムベ、ジャスミン、スイカズラなどを絡ませることができます。草花ならば、アルストロメリアやユリを後方に、イングリッシュラベンダー、セージ、ヒソップ、ダイアンサスを前景に配置してみましょう。ハーブの類は、花だけでなく葉茎にも芳香を持っていて、これらは、触れることで香りを発してくれます。ミント、サントリナ、ローズマリー、オレガノなどを通路の端に植えるとよいです。ミルトスやセンテッドゼラニュームは鉢植えに、そして、1年草ならば、マリーゴールド、バーベナなどもお勧めします。

香りの強い植物には、ハチや蝶も誘われてきます。その際に、黒い服を着て庭仕事をすることは避けてください。ハチなどを刺激することがあります。
花の形が変わるもの
アジサイを観察してみると、咲き始めから次第に色が変化してゆくことがわかります。アジサイの花びらに見える部分は実はガクなので、その部分が黄緑がかったクリーム色から次第に青あるいは赤紫へと色づいてくるということで、その'花'の盛りが過ぎてくると、今度は色がどんどんあせていき、そのまま枝に残しておくと10月には冬枯れのドライフラワーのような姿になります。欧米ではこの枯れた姿が好きで花をそれまで留め置く方もいるようです。もっとも、来年の花つきのことを考えるとこれはお勧めの方法ではありません。アジサイは花芽分化が早い植物のひとつで、花が咲いているときには既に来年の花芽の準備が始まっているからです。そのまま先の花を永らえさせることは次の花つきを悪くさせることにつながります。

イメージ例えば写真はユーフォルビア・キパリッシスという、スギの小さな苗のようなユーフォルビアですが、先端に黄色の花をつけます。が、これは時間が経つと赤く変化していき、1〜2週間で以前の花の様子とすっかり変わります。正確にはこの部分もガクでアジサイのようにその色が紅葉のように変化しただけなのです。

ビオラの中には、咲き初めから時間が経つと色の変わる品種があります。例えば、YTT(イエスタディ、トウディ、トウモロー)という品種は咲き始めは白色ですが、次第に淡紫色へと変化をしていく品種です。そのため、1つの株に複数の花色が存在することになります。こうした品種も変化を楽しめるものといえます。

春に花が咲いたり、花の色が変化したり…こうした変化は、人々の足を止めさせる原動力になります。ふと止めた足元で、新しい発見をしたり、植物の意外な魅力に気づいたり…そういう小さな積み重ねが社会をして緑を守ろうという流れにつながると考えたら如何でしょうか。緑を護り次世代へとつないでいく社会の実現のために、私たちが足元からできることはまだまだあるのではないかと思います。
ズームインする植物
イメージ庭の中であるいは道ゆくときに足を止めたり、近づいて凝視した経験はありませんか。例えば見慣れない花が咲いているとか珍しい花などはもちろんなのですが、その他にも、小さな葉や細い葉が沢山付いている植物も、遠目と近くで見たときとの雰囲気が違うために、思わず覗き込んでしまうようです。 例えば、遠目ではぼうっとしたけぶるようなシルエットのフェンネルも、近くで見ると糸のような葉が沢山茎について出来ています。タイムや多肉植物は庭の踏み石や通路脇などの狭い空間を埋めることもできる植物なので、その便利さで利用することも多いのですが、植えてみると意外にも、通行にまぎれて時に覗き込んでしまうようなときもあります。以下に幾つかの多肉植物を紹介します。これらは乾燥に強く、夏の日差しにも負けず、冬もそのまま露地で越冬する種類ですが、多湿には弱い傾向があります。
多肉植物のいろいろ
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黄金マルバ
マンネングサ
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黄金
マンネングサ
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コーカサス
キリンソウ
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センペルヴィヴム
'ムーランルージュ'
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センペルヴィヴム
マルバマンネングサの黄金葉の品種。踏石の色や周囲の植物の色と相談して用いるとよい。黄金色の植物は人目を引くが量が多いと他との調和が乱れやすい 葉が小さくて細い品種。同じ黄金葉でもこちらのほうは繊細な印象を与える。インパクトが大きくすっきりした印象になるのは左の品種。こちらは葉の大きな品種と対比すると良い。 淡いピンクがかった白の覆輪葉。涼しげな印象を与える。ある程度のボリュームがあると、すっきりとまとまる。緑の葉の植物が近くにあるとコントラストが際立つ。 成長は遅いが、手参らずで増えるセンペルヴィヴムの仲間。露地で越冬する。本種は赤い色が特徴。青い色の通常種もある。 同じセンペルヴィヴムでも細い三角形の肉厚の葉を持つ。初夏に花を付ける。硬質な洒落た印象があるので、硬質な素材と合わせるのも良い。黄金葉の植物と組み合わせるとコントラストが際立つ。

また、触感に訴えることも大切な要素です。

イメージ前号でお話した白い産毛を持つ植物であるラムズイヤーやフランネルソウなども近くにあったら触ってみようかと思うかもしれませんし、また、絹糸のようなグラスも花の時期は一層美しく、見ることもまた、触ってみることもしようとするでしょう。少し立ち止まって風に揺れる様を眺めていたくなるかもしれません。みなさんの庭を眺めてみましょう。ふと立ち止まりたくなる場所はいくつあるでしょうか。そういったその場所にしかない「秘密」をぜひ沢山作っていただきたいと思います。それが、その庭に風情や面白みを一層、与えてくれるものだと思いますし、また、時に、庭から地球環境を考えさせるきっかけともなるのではないかと思います。
雨の庭
雨の多いこの時期に、庭で雨が見えるように(視覚化)工夫をしてみます。例えば、写真のようなことです。私たちの生活には、見えているのに普段は見ていないものが沢山ありますね。雨もそのうちのひとつです。でも、例えば庭に雨の道を作ってみると、雨を実感することができます。雨天時には水の通路として植栽のエリアへと屋根からの水を導きながら、地中へも浸透させます。どちらにも行かない余剰部分は水たまりになりますが、晴れると水は引いていきます。屋根を通る間に水がペンキなどに含まれる物質で汚染されていたとしても、地中に浸透する段階でろ過されます。ここは水を浄化するエリアです。普通の住宅での設置は難しい場合もありますが、水の大切さを気づかせてくれる空間です。
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飾り壁
イメージ写真は中国の庭園にあったものです。壁の一部が窓になっていますが、複雑な形でそこからの眺めもさることながら装飾自体も空きさせません。一般の住宅でも一部の塀にこうした細工をすることは出来ます。規模に応じて創ればよいのです。ほんの少しのこだわりをどこかに与えると建物も庭も引き立つことでしょう。

バックナンバー
監修:小出 兼久
NPO法人 日本ゼリスケープデザイン研究協会
URL:http://xeriscape-jp.org
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