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“緑のある暮らし”フォーラム
第21回 オーガニックガーデンのレッスン―自然を活かす庭のデザイン編 バックナンバー
今までオーガニックガーデンをめざし、基本となる土や栽培方法、種などについて勉強してきました。 限られた敷地の中で循環させながら植物を生産し、有機的な空間を創り上げるには、敷地のデザインが重要です。
今までも資源エネルギーを活用する庭づくりを紹介してきましたが、今回は特に自然の循環やエネルギーの関係性から、庭のデザインと考え方について学んでいきます。
パーマカルチャーを取り入れよう
持続可能で無駄のない循環式無農薬有機農業の達成をめざし、その土地の地形、気候に最も適し、生態系に負荷をかけない、あらゆる自然のものを一石二鳥にも三鳥にも有効活用するような効率性の高いデザインの方法が確立されています。それを、パーマカルチャーと呼びます。

前にも紹介しましたが、パーマネント(permanent 永久の)とアグリカルチャー(agriculture 農業)をつづめたもので,同時にパーマネントとカルチャー(文化)の縮約形でもあります。これには、農業だけでなく健康で合理的な庭づくりのためのたくさんのヒントが隠されています。自然と人との関わりの中で、どのように配置し関係づくるかということが大切なのです。

パーマカルチャーの基本になる3つの要素
自然のシステムをよく観察すること
伝統的な生活(農業)の知恵を学ぶこと
現代の技術的知識(適正技術)を融合させること


パーマカルチャーは植物や動物だけでなく、建物、水、エネルギー、コミュニティなど、生活全てをデザインの対象にしています。それぞれの要素が、それぞれの役割を十二分に果たし、互いを搾取したり汚染したりすることなく永続するシステム、つまりエコロジカルで経済的にも成り立つシステムを作り上げるのです。それは自然の多様性、生産性を豊かにし、人間の精神的な充足感を含めた生活の質をも豊かにします。
いわば「地球上を森で埋め尽くす」こと、人間が古代から行ってきたものを現代的にアレンジしたものがパーマカルチャーとも言えます。この森羅万象の関係性をいかに"美しく"デザインするか、それがパーマカルチャーの目指すところです。

そういうと何か難しく感じるかもしれませんが、都会でもそのエッセンスを活用することができます。
それでは、実際にどのようにパーマカルチャーを取り込むか、見てみましょう。

エネルギーの流れを考える
庭において主に考慮すべきエネルギーは水・熱・栄養分そして植物や動物の4つです。前者3つについてはこれらをどこで取り入れ、どの様に利用し、そして排出するかのシステムデザインを考えます。このデザインにより、生産性や労力、環境に対する負荷が大きく変わってきます。
1.水のデザイン

螺旋状に高低差を設けた小さなハーブガーデン。高いところには日当たり・乾燥、低いところには湿気を好むものを植えている。
水は重力によって上から下へ移動します。下から上へ動かそうとすれば、重力の分だけエネルギーが必要となります。

又、水は、様々な物質を溶け込ませて移動させることが出来る媒体でもあります。

よって、水は敷地の出来るだけ上の方に溜め、それを重力により移動させながら出来るだけ何度も利用し、最後には水に溶けた栄養分を植物の栄養として利用してから排出することがデザインの基本となります。

排水をつたわせる
フローファーム
例えば、畑を棚田状に高度差をつけ水が最終的に池に流れ込むようにデザインします。水は植物によっても浄化され、池の回りには水分を多く必要とする植物を植えます。

池は気温や湿度を調整し、霜の害を防ぎ、害虫の天敵となる小動物や益虫を招く働きをしたりもするのです。水は徐々に地下浸透して浄化され、河に流れ込みます。 これは、洗剤などで汚染されていないグレイ・ウォーター(生活排水)や雨水などでもできます。

棚田状になっていない丘のような斜面では、等高線に沿って、溝を掘って水が徐々に地下浸透していくようにして、その外側に樹木などを植え、土壌の流出を防ぐと同時に水分を確保します。

写真:ニュージーランド「レインボー・バレー・ファーム」より
写真提供:森谷 博

2.熱と光のデザイン

図:『資源エネルギーとランドスケーピング』より抜粋
熱は植物の生長や人間の生活に欠かせないエネルギーです。季節に応じて上手にコントロールできるようデザインしたいものです。

主な熱源は、太陽光と人間の排熱ですが、冬はあたたかく、夏は涼しくするには、樹木の配置が重要です。太陽の季節ごとの動きを知ることがまず大切です。

畑の回りを防風林で囲むことは風を避けるばかりでなく、太陽熱を溜める効果もあります。畑の北側は常緑の高くなる木を植え、畑を取り囲むように南に向かって徐々に低い木を植えておきます。

3.栄養循環のデザイン

畑から出たものをまたその畑に還元するのであれば、栄養分を外部から入れる必要はなく、又、土壌が過栄養状態になることもありません。微量元素なども必要であれば、植物は自ら根を伸ばして土中から吸い上げる能力があります。必要な栄養分は植物中に全てあると考えると余計なものはいらないわけです。

実際に人間の排泄物まで畑に戻すのは都会では現実的ではありませんが、雑草や落ち葉をそのままマルチングにしたり、収穫した後の野菜や家庭内で出た生ごみなどと、積み重ねておいて堆肥にすることができます。生ゴミの悪臭が気になる場合は、コンポスト容器もいろいろ販売されているのでそれを利用するのもよいでしょう。

4.植物・樹木のデザイン

植物は太陽や熱、栄養素のエネルギーによって芽吹き、生長しますが、そのエネルギーは他の植物や昆虫、動物との関係を調節する個性をもっています。その力を利用したのがコンパニオンプランツです。

たとえば、匂いを出して虫を追い払ったり、おとりとなったり、益虫の棲家となる植物を植えることで害虫の被害を防ぐものですが、植物同士どんなに近くに植えても競争する事のない植物も、それだけでも庭に一緒に植えておく価値があります。要は一帯を1種類の野菜だけを植えてその植物に害虫が集まりやすい環境をつくるのではなく、多種類の野菜やハーブを混在させて、虫の目をごまかすようなガーデンをつくるということです。そこには日当たりや高低差を考えたり、色や葉、草姿などさまざまな要素を考えて植物の配置を考える楽しさがあります。

これは、いわゆる整然とした農家の畑ようではなく、それぞれの野菜の形や色、花の季節を楽しんでコーディネートしていく庭となるわけです。その中で、ときどきテントウムシやカマキリといった益虫やミミズに出会ったりといった楽しみもあります。

また、植物、特に樹木は空気中の二酸化炭素を吸収します。敷地内においてなるべく多く樹木を植えていくことを一軒一軒の家で実行していけば、確実に地球温暖化の防止になっていきます。
このようなつながりのある配置、小規模集約システムは、最初のデザインが肝心。でも、いったんじっくり研究して効率の良いデザインを構築してしまえばその後の維持はわりと楽で、自分で手をかけることができる時間のなかなかとれない人にぴったりといえます。
個々の野菜の育て方はたくさんの本が出ていますので、それを参考にしていただきたいと思います。肝心なのは、それを育てる舞台そしてストーリーです。

これらの中からあなたの庭にあったヒントを見いだして、少しずつ工夫をしてパーマカルチャーを取り入れてみましょう。そこからオーガニックガーデンに一歩踏み出すことで、豊かな生活を感じていただきたいものです。

資料協力:パーマカルチャー・センター・ジャパン  http://www.pccj.net/
バックナンバー
監修:小出 兼久
NPO法人 日本ゼリスケープデザイン研究協会
URL:http://xeriscape-jp.org
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