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“緑のある暮らし”フォーラム
第28回 庭でも楽しむ多肉植物 バックナンバー
多肉植物には、普通の植物にはないさまざまな形や色・ニュアンスがあります。
水をあまり必要としないという環境にやさしい特長もある多肉植物、マニアや愛好家だけのものにしないで、その個性を庭にも取り入れてみましょう。
多肉植物とは
多肉植物とは『押し花にできない植物』、英語ではサキュレント・プランツといいます。葉が厚くなったり、茎が太ったり、根などがふくらんだりして、水分を蓄積して乾燥に耐える植物の総称で、サボテンも多肉植物に含まれます。いちばん身近なものはアロエかもしれません。
原産地が世界中の低地から高山まで、いたるところに広がっており、50以上の科にまたがっているので、栽培方法も多様で、管理が難しい植物もあります。

その魅力は、なんといっても造形的な美しさ、変化に富む色と形です。まるまるとしたものから花のような葉のもの、岩のようにゴツゴツしたものなど、ふつうの草花ではないような形のものが多く、色も緑の他に白、青、グレーや茶、黒がかったもの、紅葉すると赤やピンクになるものなど、質感も粉が吹いているようなものや毛のあるもの、透明なものなど様々です。また花が美しいものもたくさんあり、四季折々の移り変わりも楽しめます。
庭に植えられる多肉植物
サボテンを含めた多肉植物の種類は、8000種類以上あり、過酷な条件でも生き残ろうと環境に合わせて常に変化しているため、これほどの種類になってしまったといわれています。
その中で、特に庭に植栽できる多肉植物の条件には、次のようなものがあります。

1.葉や茎や花が美しく鑑賞できること
2.常緑であること
3.環境に適応できること
4.容易に繁殖ができること
5.病害虫が少ないこと


庭に植えることで、南国風異国情緒をかもしだしたり、質感・色の変化のアクセントとなったり、また水やりが少なくすむので環境にもやさしい植栽材料となります。
暖地で戸外で育てられるもの
実のなる木があれば、冬にはいろんな鳥が集まります。色鮮やかな実は、花や緑の少ない冬の庭のアクセントにもなります。もちろん種類は多く、しかも大木のほうがよいですが、スペースがなければ、1、2本の樹木でも鳥はやってきます。
大型のもの
■アガベ
 <リュウゼツラン科>
■コルディリネ
 <リュウゼツラン科>
■ユッカ
 <リュウゼツラン科>
小型のものから大きくなるものまで種類が多く、リュウゼツランは路地植えでかなり大型に育てることができる 4〜6mにまで成長する
南国風の植栽に
2〜3mまで成長
リュウゼツラン ニオイシュロラン/紫葉コルディリネ ユッカ・トンプソニアナ

中型のもの
■ベンケイソウ
 <ベンケイソウ科>
■セトクレアセア
 <ツユクサ科>
■カランコエ
 <ベンケイソウ科>
色は白〜濃ピンクまで、非常に丈夫 日当たりがいいと美しい紫色になる  
ベンケイソウ 紫御殿 カランコエ

這い性のもの
■セダム
 <ベンケイソウ科>
グラウンドカバーや屋上・屋根緑化にも使われ、多くの種類がある
メキシコマンネングサ マルバマンネングサ リトル・ジェム
■ラプトペタルム
 <ベンケイソウ科>
■エケヴェリア
 <ベンケイソウ科>
■カマエケレウス
 <サボテン科>
バラの花のようなロゼット状 霜のないエリアなら地植え可能 サボテンの仲間だが風雨・雪にも強い
グラプトペタルム エケヴェリア カマエケレウス
■アプテニア
 <ツルナ科>
■マツバギク
 <ツルナ科>
■アプテニア
 <ツルナ科>
紫紅色の花を夏開花させる 花は白・赤・黄色・橙・ピンク・紫など、石積み塀などに 紫紅色の花を夏開花させる
花蔓草 マツバギク 花蔓草
多肉植物の初心者の方には、育てやすく、価格も安くて、株が入手しやすいベンケイソウ科の仲間がおすすめです。
ベンケイソウ科のなかでも葉の色がカラフルで、秋から春にかけて紅葉するものが多いので喜ばれるのが、エケヴェリア属、アエオニウム属やセダム属。種類も多く、葉ざしやさし木がしやすいので、株をふやす楽しみがあります。

基本的に乾燥に強く水やりは少しで大丈夫ですが、過湿や寒さに弱い種類もあります。戸外に植えられるといっても、霜には弱い種類があるので注意が必要です。
室内で楽しめる今人気の品種

ハオルシア‘オブツーサ’<ユリ科>

直射日光が苦手なので室内での栽培に適している
半透明のヒスイのような淡い緑色の葉が美しい
ティランジア<パイナップル科>

エアプランツとして一般的
土を必要としなく、高温多湿に弱い
セキネオ‘緑の鈴’<キク科>


通称グリーンネックレス
三日月型のものもある
アエオニウム
 ‘黒法師’
<ベンケイソウ科>

個性的な黒い多肉植物
春〜秋までなら戸外も可
育て方のコツ
水やりは控えめに、水はけをよくすることが大切です。種類によって一般の植物と一緒の条件でも大丈夫なものもあれば、ロックガーデンに向くものもあるので、よく性質を見極めて植えることです。

寄せ植えにする場合は、似たようなタイプを組み合わせることが基本ですが、1種類ずつ植えて寄せ鉢にするとコーディネイトに応用がききます。過湿や寒さに弱いタイプは、春から秋は屋外に出して、冬や梅雨どきは軒や室内に入れると1年中楽しむことができます。

また、丈夫な種類はロックガーデンや石垣にどんどん取り入れてみましょう。環境に合わせてたくましく育ってくれるはずです。
ヒートアイランド現象への効果?

セダムによる屋根緑化(ドイツ)
特にセダム類は、屋上緑化や壁面緑化によく取り入れられています。しかし、最近の調査では水やりが少ないと芝などにくらべて蒸発散が少ないということが明らかになっています。

これは、乾燥地帯で生まれたため、乾燥状態に耐えられるよう水分を体内に閉じこめて逃がさないようにする性質によるものです。
蒸発散は気化熱を放出し周囲の気温を下げますが、多肉植物による植栽では、蒸発散は少なくても、照り返しを防ぎ、表面温度を下げたり階下への伝導熱を減らしたりする効果はあります。
苛酷な環境と言えば、多肉植物が生まれ育った地域も私達が住む都会もかわらないかもしれません。あまり植栽のスペースがとれない条件でも、たくましい多肉植物を戸外に取り入れてみましょう。庭に新しいニュアンスが生まれるはずです。
バックナンバー
監修:小出 兼久
NPO法人 日本ゼリスケープデザイン研究協会
URL:http://xeriscape-jp.org
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