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| 私たちはいつも、たくさんの自然からの贈り物を手にしています。秋は特にそれに気が付かせてくれる季節です。例えば、色。自然界にはさまざまな色が溢れ、それらは一年の中に無造作に散らばっているかに見えますが、実は、季節ごとの色調には一定の傾向があります。この季節、じっくりと周囲を見渡して、秋にはどのような色が溢れているのか注意をしてみてはいかがでしょうか。 |

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例えば、鮮やかに紅葉した木々の赤や黄、宝石のような果実の深紅、落葉やススキの穂のからりとした茶、夏の名残のようなカリオプテリスのブルー・・・。秋には、同じ赤や黄、青でも、しっとりとかこっくりといった形容詞が似合う、円熟・完成・大人を感じさせる色味が溢れています。四季という栄枯盛衰の中で、秋は収穫や実りの季節であり、言い換えれば、生命の終わる前の成熟した総決算の時期でもあります。そう考えるとこの自然の摂理に与えられた自然の色は、なんとぴったりと合っていることでしょうか。今さらながらに感嘆させられます。秋という季節に、パステルカラーや若葉の色が多量にあふれた光景は似合わないのです。
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夏から秋への季節の移り変わりを、私たちはどのように感じるのでしょうか。
それは、ふと見上げた空の青さであったり、朝晩の冷え込みであったり、光の具合であったりするかもしれません。もちろん庭の色彩パレットにも変化が現れてきます。気候が涼しくなるにつれて、庭には赤やオレンジ、紫といった情熱的な色の花が目立つようになってきます。カンナやダリアが勝ち誇ったように咲き、キクは赤、黄色、赤褐色とその濃淡で旋律を奏で、紫やブルー、ピンクのアスターがぽつぽつと目立つようになると、夏の気配はすっかり消えて、私たちは秋のただ中にいることになります。そして、やがて花々は鮮やかな実と輝くばかりの紅葉に主役をゆずり、表舞台から消えていきます。満艦飾の紅葉が盛りへと向かう一方で、庭は着実に衰退していきます。
こうしたパレットの移り変わりを庭に取り入れると秋の庭の骨格ができあがります。
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秋に見られる代表的な色調を幾つかあげてみます。
■極端なコントラスト
晩夏から秋にかけては、飽和した赤や青(紫)、黄色の花々と葉の緑で作るハッキリとしたコントラストの庭が映えます。それはまるで燃えさかる生命の灯火を掲げて、去りゆく夏を惜しむ送別曲のようです。赤と紫、それに緑の葉と銅葉(濃い紫の葉)で花壇やボーダーを構成すると、見る者に強烈な印象を与えます。他の時期では暑苦しさやうっとおしさを感じさせる組み合わせも、この季節にはしっくりきます。この赤と紫にはあまり色の幅がありません。過剰なまでの色の協奏は、私たちに次の季節の訪れを印象づけるのに十分なものです。 |
■暖色のハーモニー
赤、橙、黄色で作られる暖色系のハーモニーは、まさしく秋の真骨頂である色の組み合わせです。ダークレッド、チョコレート色、落ち着いたオレンジ、葡萄茶、深赤色の花々が植え込まれたボーダーは、地平線におちる夕日を写し取ったかのようです。
そしてそこに明るいサーモンピンクやピーチの花々、例えばヘメロカリスやエゾギクを加えると、一筋のきらめきが加わります。
また、この暖色系の色は、明るい緑色との相性も良く、明暗、盛衰のような個性的な光景を作りだします。
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■輝く黄色
木々の葉が黄色く染まるだけでなく、秋に黄色の花や実をつける植物も沢山あります。赤金色から輝くような黄色そして淡い黄色まで、どれもが秋という円熟した季節にぴったりの色です。このような黄色の花々だけを集めて花壇やボーダー(境栽花壇)を作ったら、短くなる日を惜しみ、光をリフレインするような素晴らしいものができあがると思います。
また、黄金色に染まった木々を背景とする秋の花の植え込みやススキやパンパスグラスの明るい穂も、この時期ならではの自然からの贈り物なので、最大限に活用したいものです。
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■ピンクとオレンジ
暖色や褐色のくすんだ暖色系のパレットの中で、ほの明るいピンクとオレンジの花は、残り火の明滅や生命のきらめきをともしてくれる色です。
庭が衰退へと向かう中で、ダリア、バラ、ネリネ、キク、ヘーベ、ハギ、クニフォフィア、ベラドンナリリー、ヒガンバナなどの花は、澄み切った空と銅葉(濃い紫の葉)や褐色の色彩を背景に、春や夏とは違った趣の生命力を見せてくれます。
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さて皆さんの多くは、ガーデナーや園芸愛好家として、冬や春の準備に気がせくかもしれません。
しかし、季節は一年に一度しか巡ってこず、秋の植物をじっくりと観察できるのは今しかありません。お店に走り、今ある草花を買う楽しみも否定しませんが、市場にはなくとも秋ならでは植物が巷にもあると思います。それらを知り、来年や再来年の「秋の庭」や「秋のコンテナ」に役立てることも、大きな楽しみとなるはずです。
私たちは、春や夏にはこぞって花々を求めガーデニングに精を出しますが、秋には力尽きてやや一辺倒になりがちです。出来合いの苗をその季節に買い求め植え込む、さらに、より熱心な人は皆が持っていないより珍しいものへと走りますが、その場で即完成を求めてばかりでは、できあがる光景はどこか即興的でインスタントのものになりがちです。
皆さんには是非、今年は即興を楽しみながらも、十分にリサーチをし、来年への準備を今からする、という時間をかけた庭づくりも行っていただきたいと思います。勿論これは他の季節にも言えることです。誰もがゆるされる環境にはないかもしれませんが、だからこそ時間をかけた庭づくりは、高価や珍しい苗の庭よりも、贅沢な自然からの贈り物といえるのです。
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