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“緑のある暮らし”フォーラム
第45回 アレルギーフリーガーデニング 花粉症とガーデニング(1) バックナンバー
春本番です。春は1年でもっとも待ちわびる季節。冬の終わりに春を見つけると、毎年のことながらとても嬉しくなるのですが、最近では春の訪れを、見て知るのではなく目鼻のアレルギーから気づく方も多いようです。

悲しいかな、今や国民病の感がある花粉症ですが、ガーデナーにとっては魅力的な今の季節、アレルギーに困惑する方や自分はいいけど家族が・・・という方がいらっしゃることと思います。今回はそんな方のために、アレルギーと上手くつき合うガーデニングを紹介します。大丈夫、必要ないというあなたは、将来の万一の参考にどうぞ。

アレルギーとは
アレルギーとは、ある物質に対して体や体の一部が異常な反応をすることです。人間の体は、外部から異物の侵入や接触を受けると、自身を守る反応が働きますが、アレルギーというのは、いわばその反応が強すぎて逆に自分の体に害を及ぼしてしまうことです。アレルギー反応による病気をアレルギー性疾患といいます。

▼アレルギー性疾患
1)アナフラキシー(生死に関わるショック症状)
2)気管支喘息
3)アレルギー性鼻炎(くしゃみ、喉のかゆみ、腫れ、鼻水、鼻づまり)
4)アレルギー性結膜炎(目の腫れ、かゆみ)
5)皮膚アレルギー(湿疹、じんま疹、かぶれ、光線過敏症)
6)花粉症(アレルギー性鼻炎+結膜炎のような症状)
ガーデニングとアレルギー
アレルギー反応を引き起こす物質はアレルゲンと呼ばれます。アレルゲンには、食物やハウスダスト、薬、動物の毛などの他に、花粉や胞子、香り、植物性毒のような植物に由来するものも多くあります。

花粉症のアレルゲンではスギ花粉が有名ですが、実際は、現在日本では80種類ほどの植物の花粉が花粉症のアレルゲンと認められ、また海外からの新しい植物で確認がされていないものも含めれば、その数はもっと広がる可能性があります。その他、皮膚アレルギーや香りがアレルゲンとなる植物もあります。
身の回りの植物とアレルギーの関係を知り、過度に神経質にならずに、自分に合った方法で、自分に合った植物とつき合う、それが健康な生活を育む環境共生の第一歩となります。

アレルギー全部を一度に紹介できませんので、今回は花粉症とガーデニングについて考えます。

香りが喘息などを誘発する

花粉

接触アレルギー
とげとげに

接触アレルギー
産毛に
花粉症
花粉症は、長期間多量の花粉を吸い続ける環境で発症します。長期間/多量といっても、どのくらいで発症するかはまちまちで、症状にも個人差があります。また、地域によって問題となる花粉も異なります。スギだけでなく、多くの樹木、イネ科植物や雑草の花粉もアレルゲンとなります。

▼花粉症の原因となる花粉のカレンダー(主要植物)

※あなたの地域ではどの花粉が問題になるのか、地域の医療機関が発表する情報をWEBサイトなどで検索すると役に立ちます。
風媒花と虫媒花
あくまでも概略ですが、一般に、小さく、黄色から緑を帯びた白花で多量の花粉を出し、風媒花という風に乗って花粉を飛ばす種類の樹木は、花粉症のアレルゲンになる可能性があります。これに対し、大きめの色とりどりの花をつけ、虫を誘って受粉する虫媒花という種類ではその可能性は少なくなります。特に釣り鐘型の花なら花粉の心配はほとんどいりません。

では、派手な目立つ花の咲く植物は?
おそらく花粉症のリスクは少ない、という想像がつきます。

風媒花 カシの花

虫媒花 ヒメリンゴの木
単一か多様か
花粉症の原因となる植物がまとまった形で植えられていたら、花粉症を引き起こしやすいのは想像できますね。並木・生垣・花壇などは、植物の選択を間違えると危険がいっぱい、つまりアレルギー抑制の点から考えると、一種類の植物を沢山植えるよりも、複数の種類を組み合わせた植栽の方が好ましいのです。さらに、そうすると生物も多様性になり(いろいろな生物が来ます)、豊かで安定した生態系ができるという利点もあります。

とはいえ、並木や生垣や花壇が単一植栽なのには、その良さや理由もあります。ケース・バイ・ケースでデザインをし、アレルギー抑制という尺度で材料を吟味する、空間づくりには複眼的な視点が欠かせません。


ボックスウッド(手前の丸)やラベンダー、
うしろの針葉樹と、デザインはいいのですが、
いずれも花粉症や他のアレルギーの原因となる恐れあり。
アレルギー対策としては材料を吟味。




多様性のある植栽。
これでものが無害だったら
言うこと無し!蝶や虫や鳥も
来ます。でも、いつもこういう
デザインばかりしている
わけにはいかない。
プラタナスの並木は
心地よい緑陰を提供してくれる
大変良いものなのですが、
花粉症のアレルゲン。
雌化(めすか)した庭は良い庭?
植物にも性別があります。たいていの花は、ひとつの花に雌しべと雄しべの両方を持ちますが(両性花)、しかし木本類の中には、雄花と雌花が分かれて咲くものがあり、ひとつの木に雌花と雄花の両方が咲くもの(雌雄異花同株:トウモロコシ、スギ、アケビなど)と、雌木と雄木に分かれて咲くもの(雌雄異花異株:下の例-2表参照)のおよそ3つのタイプに分かれます。
これを花粉症との関係から見ると、面白い発見があります。アレルギーフリーガーデニングの権威であるト-マス・オグレン氏『Allergy-Free GARDENING』によれば、花粉症の原因となる樹木が雌雄異花異株(しゆういかいしゅ)の場合、雄木は花粉をまき散らすアレルゲンですが、雌木は花粉も無害であり逆にローアレルギーガーデンにはもってこいの選択だと言うのです。

では、アレルギーフリーのための究極の選択は、雌木ばかりの庭でしょうか?そうかもしれません。でもそれが良いのでしょうか。何だか不自然で気味悪い感じがするのは私だけでしょうか。何処の世界も雄雌そろったほうがよいのはないかと思います。

下に花粉症のアレルゲン樹木の一例を載せました。雌雄異株の品種でも、市場では性別を区別して売っているとは限らず、片方しか生産していなかったり、注意が払われていなかったりします。例は目安として参考にしてください。

■花粉症のアレルゲン樹木の例-1(雌雄同株)

カシ科 カシ
カバノキ科 オオハシバミ、シラカバ、ハンノキ
グミ科 ナワシログミ、ヤナギバグミ
クルミ科 カシグルミ、テウチグルミ
クロウメモドキ科 イソノキの仲間
スズカケノキ科 プラタナス
スギ科 コウヨウザン、スギ
ツバキ科 ハマヒサカキ
ドクウツギ科 ドクウツギ
ニレ科 アキニレ、ケヤキ、ムクノキ
ブナ科 クヌギ、クリ、コナラ、ブナ
ヒノキ科 アスナロ、イトスギ、ヒノキ、ビャクシン*1の仲間
マメ科 アカシア、ニセアカシア*2
モクセイ科 オリーブ*3

*1…品種によって雌雄異株もある。例-2も併せて参照のこと。
*2…アカシアとニセアカシアは別の品種であり、両方とも花粉症のアレルゲン。
*3…Swan Hill ナーサリー(米国)で作られた、花を付けない品種:Swan Hill Oliveがある。


■花粉症のアレルゲン樹木の例-2(雌雄異株:雌株の花粉は無害)

ウルシ科 ウルシの仲間 ツタウルシ、ハゼノキ、他
カエデ科 ネグンドカエデ、シルバーメープル
クスノキ科 アブラチャン、ゲッケイジュ、シロモジ
クワ科 クワ
ツヅラフジ科 コウシュウウヤク
ヌマミズキ科 ニッサ・シルバティカ
ヒノキ科 アメリカハイビャクシン、セイヨウネズ、ハイビャクシン
モクセイ科 セイヨウトネリコ、トネリコ、ビロードトネリコ、ヒトツバタゴ
ヤナギ科 シダレヤナギ、セイヨウシロヤナギ、ポッキリヤナギ、
ポプラ類(ハコヤナギの仲間)

■アレルギーフリーガーデニング 〜花粉症への基本対策編〜

体への花粉の付着を防ぐ
 ・夏でも肌を露出させない長袖、長ズボンを作業服とする
 ・目がかゆくなる人は、サングラスやゴーグルをする
 ・帽子を着用する
-------- ▲ これらは、スキンアレルギー対策でもあります --------
花粉を家の中に持ち込まない
 ・ガーデニングは専用の作業服で行い、家に入る前に脱ぐ
 ・帽子も家に入る前には必ず取り、もし花粉がひどい場合は、洗髪もする
室内に入った花粉を除去する
 ・花粉除去機能のついた空気清浄機で取り除く
 ・浮遊する花粉はやがて下に落ちるので、まめに床掃除をする
 ・掃除機は避け、濡れた雑巾やモップでの拭き掃除にする
アレルゲンとなる植物への対応
 ・量を植えない
 ・庭にアレルゲンとなる植物を植えない(アレルゲンでない雌株をすすめる)
 ・アレルゲンとなる雑草は小さいうちに除草する
 ・原因が周囲にある場合は、飛散傾向を知って外出時間の調整など対策をたてる
ガーデニングに適した時間帯
 ・午前遅くから午後まで
花粉の飛散は朝や晩に多いが、日中は、対流(気温の上昇と共に暖められた大気はより上へと上がり、冷たい空気は地面へと下がることで起こる現象)により、朝、対流にのった花粉は、気温が下がるまで下へ降りてきにくい。そこでガーデニングに最もよい時間帯は、午前遅くから気温が下がり始める夕方前までとなる。
作業に適した気候
 ・風の穏やかな日、曇りの日
雨の日の花粉の飛散は通常より少ないものの、小雨程度では普段とあまり変わらない。風の強い日は飛散が多くなる。


バックナンバー
監修:小出 兼久
NPO法人 日本ゼリスケープデザイン研究協会
URL:http://xeriscape-jp.org
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