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“緑のある暮らし”フォーラム
第49回 秋の花 バックナンバー
スローフード、スローライフ、ロハス云々・・・最近の巷で流行の言葉です。

私なりの解釈では、私たちが忘れてしまった昔ながらのよき生活を楽しもう、ということかと思っているのですが、よき生活のなかには、もちろん、植物を育てるということも含まれるのだと思っています。実際には、買って飾って手軽に楽しめる現実もあるわけですが、今回は、緑をゆっくり育てる、ゆっくりつき合うことを、あらためて考えてみようと思います。

種から育てる緑
スローグリーン・・・やはり、植物とつきあう王道は種をまくことである、と言えます。

昔は皆が種をまいていたのに、今では誰かがそれをしてくれるお陰で、私たちは欲しいときに手軽に苗や鉢花を買って楽しむことができるようになりました。この楽しみ方も嫌いではありませんが、たまには原点に還って種をまくのもいいものです。私は一年に2度そう思う時期があり、つまり春と秋ですが、どちらも種まきに適した時期なので、余裕のあるときはできる範囲で種をまくことにしています。園芸店やガーデンセンターで一般向けの種を手に入れたり、珍しいものや最新品種の種を目当てに、インターネット通販や通販カタログに目を通します。

今の時代は、ある程度の種類ならば、やがて市販苗の形で手に入れられますが、いつも希望の品に会えるとは限りません。たとえば八重の花が欲しいとか、アプリコット色の花が欲しいとか、カタログを見始めるときりがなく、花の色や形、品種にこだわり、あれもこれも欲しくなりますが、幾つかに絞り、購入してまくようにしています。皆さんも、何か1つ2つ、始めてみたらいかがでしょうか。一袋には結構な量が入っていますので、苗ができたら、是非、友人や家族、ご近所にお裾分けをし、緑の輪を広げてください。
皆で緑を育て、そこから会話も広がる・・・スローグリーンの理想です。

種まきの方法は、種類によって多少の違いがあります。一番いいのはパッケージに書いてあるとおりにすることですが、ひとつだけ失敗しない秘訣をお知らせします。それは、とにかく水の管理をすることです。土がいつも適度に湿っているようにしてください。ただし、水びたしになるほどの水ではやりすぎです。種や根が呼吸できなくて腐ってしまいますので、何事も加減が大事です。

種をまく場所は、市販の専用の容器やイチゴパック、黒ポットなどがいいです。種類によってはプランターや花壇に直にまくこともできます。容器まきの場合は、本葉が3?4枚になったら黒ポットに植え替え、さらに大きくなったら、最終の植えたい場所に移植するようにすると本格的です。何度も容器を替えるのは面倒ですが、こうすると根が十分に発達したよい苗ができることも事実です。面倒な方は、直播きにして、重なっている苗を間引きながら育てます。あるいは、ワイルドフラワーミックスの類ならば、草原のようになりますから、まいたらそのままでかまいません。1年草も宿根草も、本格的な寒さが来る前に十分な大きさになるように、種まきは、遅くとも11月初旬までにはすませたほうがよく、こうすると、冬を乗り越えた苗はしっかりと丈夫になり、春や初夏に花を咲かせます。

■秋まき草花の例
  適期 直播き 覆土
アリッサム 8〜9月 しない
キンギョソウ 9〜10月   しない
キンセンカ 9月   する
クリサンセマムノースポール 9月 薄く
スイトピー 10月中旬 する
ネモフィラ 9〜10月 する
パンジー・ビオラ 8〜9月   する
ルピナス 9月中旬〜10月 する
ロベリア 9月〜10月中旬   薄く
ワスレナグサ 8月下旬〜9月 する

適期は目安で、種子の多くは15〜20度で発芽する。高温が必要なものほど早くまく。秋まきの草花は耐寒性の強いものが多いが、その根が十分に発達するように時期を逃さずまくようにする。直播きが○のものは移植を嫌うので、ポットにまいて移植するかプランターや花壇に直にまくとよい。早いものは5日、長くて2週間で発芽する。


ずっとタンスに眠っていた種があるのならば、この際ですから是非まいてみましょう。古いものはあまり芽が出ないかもしれませんが、それでもただしまって置くよりもずっとましです。

POINT:1種類でいいから種から育てることを始めてみよう
1種類でいいから種から育てることを始めてみよう
小さな庭だから木は植えられないとあきらめていませんか。日陰になる、お隣に葉が落ちる、大きくなったら困る・・・都市では大きな木がどんどん肩身が狭いものになっているようですが、やはり窓辺に木が見えるということは、何よりも価値があります。最近私の事務所では大きな木を移動したのですが、それからというもの窓の視界が急に開け、太陽に容赦なくさらされ、それまで毎日聞こえていた鳥のさえずりが聞こえなくなりました。代わって、無味乾燥の風景が広がっています。

ここでスローグリーンです。
永く無理なくつき合うために、小さな庭に植える木は、好きとか流行という理由に加えて、成長がゆっくりなもの、または、大きくならないものを選ぶことにするのです。

ファスティギアータ樹形の木
イギリスナラ 'ファスティギアータ
セイヨウシデ 'フランスフォンティン'
ナツボダイジュ 'ファスティギアータ '
ノルウェーカエデ 'コルムナー'
モクゲンジ 'ファスティギアータ'

『新樹種ガイドブック』日本植木協会編 より 
大きくならない=低木という意味ではなく、高木でも例えば、ファスティギアータという樹形の木を選べば、これは狭い円錐形になるのですが、成長もゆっくりで、高くはなっても横に広がらず、剪定もいりません。この種類を選べば、狭い場所でも高木が植えられ、庭の風景にコントラストがつきます。もちろん窓からの眺めもよく、おすすめなので、新しく木を植えようという方は、これから落葉樹の移植適期になりますので、是非検討してみてください。

また、これからは台風シーズンでもあります。成長の早い木は、概して繊維質が柔らかく、強風で倒壊したり折れやすい傾向があります。根が浅い木も同様です。こうした木は、小さい庭では利用を止め、ゆとりがある場合でも家の近くに植えるのは避けましょう。

POINT:ゆっくりと育つもの、大きくならないものを知ろう
ゆっくりと育つもの、大きくならないものを知ろう
第47回ミニベジガーデンでも触れましたが、野菜やハーブを育てて収穫し、毎日の食卓に利用するのは、スローライフの実践でもあります。体のことを考えたら有機野菜がいいのかと思いますが、なかなか全部を買えませんし、だからといって全部作るのも骨です。ですから、冷凍ピザを温めた時にちょっと手作りのバジルを添えて・・、あるいは家庭でできるスプラウト(第44回)・・このくらいの実践が、無理なくできるスローフードじゃないかと思うわけです。ここから始めて、できる方はそれ以上の範囲に広げればいいのではないでしょうか。

POINT:スローグリーンの第一歩は食用から
スローグリーンの第一歩は食用から
緑とよりそい、緑のある生活をゆっくりと楽しむ 
私は、そういう意味でスローグリーンと名付けました。

緑のある生活というのは、何も普段から意識しなくとも全然かまわないものです。むしろ、夏の日にぎらぎらと照りつける太陽を避けて木陰に入った時にほっとした気持ちや、帰りづらくて公園のベンチでぼっとしていたときの緑の青さ、煮詰まって窓から眺めたときの木々のゆらぎ、そうした風景とその時の気持ちを大事にして、それを根底に普段の生活に緑を取り入れていくことだと思っています。

ここで大事なのは、無理をしない、知る、それから、少し無理をする、ということです。
つまり、まずは、あれもこれもと欲張らないで、「自分のできる範囲で緑とつき合うこと」、次に、より深くつき合うために、「その対象の緑を良く知ること」、そして最後に、知識を取捨選択して、「新しい緑にも挑戦する」ということなのですが、何だかどこかの金言集にも聞こえます。しかし、この「無理をしない」を実践するのが難しいのです。もっとも、植物に無理をさせているという自覚がないのがほとんどなので、枯れたり、自分の手間が増えてから気が付くことになります。こんなはずじゃなかった!、と。

私たちにできるスローグリーン・・・
あなたは無理のない範囲で緑とつきあっていますか?

バックナンバー
監修:小出 兼久
NPO法人 日本ゼリスケープデザイン研究協会
URL:http://xeriscape-jp.org
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