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“緑のある暮らし”フォーラム
第53回 冬の実・庭の彩り バックナンバー
クリスマスも目前というのに、東京では暖かい冬が続いています。
その暖かさのほどは、先日買った遅蒔きのロベリアが青い花を鉢の中で咲かせていると言えば、想像がつくかと思います。不思議なことにパンジーと共に花盛りなのですが、それでもこうしてわざわざ色を添えないと、色彩の乏しい季節になってきました。
手入れもしない庭でこの時期に他に目につくものは、常緑樹の緑や赤や黄色の実でしょうか。他の季節にはさほど目立たない植物が、気になる時期であります。その中でお勧めのものを幾つか紹介しましょう。
イメージ
ユズ、キンカン
イメージユズ、キンカン、ナツミカン、など柑橘類の実る時期です。お吸い物からユズ湯まで楽しむことができます。砂糖漬けもいいですね。家庭に1本ユズの木があると便利なことでしょう。ただ、ユズの木は結実が遅いので、実生苗でなく接ぎ木苗を求めるようにします。これなら数年で結実を始めます。また、ハナユ(一才ユズ)というユズの近縁種ならば、若木でも豊かに実を付け、樹高も1.5m程度と低いため、狭い敷地にはこちらをお勧めします。


栄養的に見た柑橘類の王者は、キンカンです。ビタミンCやビタミンB1、B2を豊富に含んでいるだけでなく、花期は年に3回ほど、また、他の柑橘類よりも樹高も低くコンパクトにまとまりやすいので、庭や鉢に植えるのに適しています。盆栽にも向きます。
ユズ、キンカン共に、植え付けは3〜4月または梅雨前が適しています。柑橘類はアゲハ蝶の食餌木です。自然を豊かにする木として、蝶の幼虫も大目に見てあげて下さい。
カリン
イメージ先日カリンの実をいただきました。子供のころ、毎年この時期になるとカリンを四つ割りや櫛形に切って土瓶に入れ、少々の砂糖を入れて煎じたものをよく飲んでいたことを思い出しました。甘酸っぱい香りと味のお茶は、風邪の予防にもなりますが、冬の飲み物として強く心に残っています。当時、こんなに美味しいのだから生では食べられないのか?と思い、ある日こっそり囓ってみたところ、硬くて酸味がありさっぱり美味しくありませんでした。カリンは、東北や長野などの冷涼地に適しているため、東京での実のつき具合や生育はさほど良くありませんが、育てることはできます。

イメージその成長が遅く、幅も余り広がらないため、住宅地にも向きます。例えば子供の生誕木などにするといいと思います。そう思って気にしてみると、東京でもたまにポツリポツリとカリンの木を見かけます。何かこだわりを持って選ばれたのでしょう。嬉しく思います。木肌の美しい木です。
12月〜3月が植え付け適期です。
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イメージナンテンは、以前は庭を作ると最低1本は見られたものです。名を「難を転じる」という意味にとって、玄関や門前、トイレ(ご不浄)の近くに良く植えられていました。
最近の洋風の家では、植物もコニファーのような洋物が主役となり、そういう意味で使用が減ったかなと思われるナンテンですが、前回も述べましたが、もっとその価値が見直されてもよいのではないかと思います。常緑ですから遮蔽や生垣にも役立ちますし、陰地にも耐える丈夫な木です。なんといっても良いところは、葉が繊細なので常緑でも印象が重くならないこと、日当たりが良ければ、株の下まで葉が生えてスカスカにならないこと、秋や冬には実がつき映えること、品種が多いことなどでしょう。
落ち着いた緑色は建物に品格を与えますし、パンジーなど一年草の背景としても適しています。寄せ植えもお勧めですが、小ぶりの鉢植えにするには、紅葉の美しいオタフクナンテンやちょっと変わったキンシ(錦糸)ナンテンが適しています。
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イメージお正月に限らず、色の少ない冬の庭の彩りとなるのが、マンリョウやセンリョウです。
地味で普段は忘れがちな植物ですが、この時期には貴重です。根締めといって、樹木の下草として植えておけば、景としても、また、花材としても重宝されると思います。
但し共に常緑樹なので、植え付けには暖かくなった4〜5月か秋の9〜10月が適していますので、ご注意ください。

センリョウは実が枝先端の葉の上につき、また葉も綺麗に上を向いています。これに対し、マンリョウは葉の下に長い茎を付けてその先に実が垂れ下がります。葉先も垂れ下がります。また、センリョウは叢状になり、マンリョウは木の半分から上の部分に葉と実が集中し、黙っていてもスタンダード仕立てのような樹形になります。花材として使い易いのはセンリョウでしょう。いずれも暖地性なので、露地植の場合は、関東以西の地域で明るい日陰に植えるのが適しています。
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イメージピラカンサの大枝にたわわに小さい実が実った姿は圧巻です。けれども管理の立場からはやや扱いにくい木となります。といっても管理が難しいとかそういうわけではなく、放っておくと暴れる、樹姿が乱れる木なのです。ならば剪定をすればよいかというと、剪定を繰り返すと今度は実のつきが悪くなります。これを解決するには、庭のここなら暴れてもいいという場所に植えるか、誘引して生垣として仕立てるのがいいでしょう。ちなみに、この赤い実はムクドリやヒヨドリの餌となります。両者は食べる時期を知っていて、私の事務所の庭でも11月まではヒメリンゴなどを食べていますが、12月になるとピラカンサを食べ出します。毎年それを見ると「ああ今年も終わりだなあ」と思います。庭に鳥が来て欲しいと言う方にはお勧めの食餌木です。
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イメージこの他にも、クリスマスを彩るヒイラギやヒイラギモチやコトネアスター、アオキなども赤い実を付ける低木です。この時期にはヒイラギに目が行きますが、アメリカヒイラギもセイヨウヒイラギも放っておくと高木へと育つ木で、私の場合は、後の責任がとれないため、楽しむときはリースなどの切花に限って楽しんでいます。余談ですが、寄せ植えに良く入っているアマミヒイラギ(正式名はアマミヒイラギモチ)も地に下ろすと、60センチ〜80センチ、大きく育ちますのでご用心。本来は3メートルにまでなる木です。1年草や鉢花と違い、樹木は長く生きるもの。計画を持って大事にしてあげたいものです。

イメージコトネアスターには、何種類もあります。多く見られるのはベニシタンとコトネアスター・ダメリー、オータムファイアーなど。前者は葉が細かく骨太とで粗に実をつける感じで、後者2つは葉がナンテンくらいの大きさで柔らかい印象です。ともに樹姿は乱れますが、和風庭園や隙間のある感じを好む方は前者を、密度の濃い緑が欲しい方には後者をお勧めします。オータムファイアーはその名のとおり秋の紅葉が美しい木です。

イメージアオキもこの時期におすすめの庭木です。常緑の大きな葉が連なる様は重たい感じを与えますが、斑入りの品種ならば明るさも演出してくれます。さらに、小型の観葉として栽培されたものは、ウインドーボックスなどの寄せ植えにも適しています。この時期、ミニシクラメンやヒース、クロッカスや水仙などとの相性が良いと思います。


以上幾つかの木に焦点をあててこの時期を考えてみました。
もっともっと寒くなると関心はやはり室内に移ります。
次回は室内の緑についての話をいたします。

バックナンバー
監修:小出 兼久
NPO法人 日本ゼリスケープデザイン研究協会
URL:http://xeriscape-jp.org
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