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“緑のある暮らし”フォーラム
第53回 冬の実・庭の彩り バックナンバー
三寒四温、
天気が変わりやすい季節になってきました。

今年は暖冬と言われ、その原因は地球温暖化によるエルニーニョ現象だとされています。
日本だけでなく、世界規模でさまざまな現象がおきている昨今。
地球にいま何が起きているのでしょうか?
そしてそれは、私たちのささやかな「緑との暮らし」にも影響を与えるものなのでしょうか?
イメージ
 
少し難しい話にりますが、今や私たちひとり一人が真剣に考えなけらばいけない問題となっている「地球の温暖化」という大きなテーマについて、年間をとおし数回にわけてお話していきたいとおもいます。
今回はその第一回として、私たちの緑の暮らしに与える影響について綴ります!

私は暖冬というと、自分で気象研究をするまでは、ウィンタースポーツは別としても石油やガスなどの燃料を例年ほど消費せずにすむな…とか、暖かいと薄着ですむしなんとなくいい…なんてぼんやりと思っていました。昨今の「異常気象は温暖化による警鐘である」という報道を重ねて見ると、深刻なのをよく分かっているつもりですが、それでもつい自分の生活は棚にあげてしまいがちです。面倒だというのもありますが、実際の身近な生活に「温暖化」の認識がおりてこないことも事実です。そういう方は多いのではないでしょうか。温暖化を身近な問題として考えるために、今月初めに公表されたIPCCの第4次評価報告書を契機に、特に「緑」についての影響をまとめて見ようと思います。

本来は食など生命に関わる危険が第一なので、緑は二の次かもしれませんが、新しい視点として読んでもらえると良いと思います。
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暖冬に咲き続けるロベリアの花
本来は初夏から初秋に咲くが、遅蒔きで11月に入手した。
軒下で以来ずっと咲き続けている。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、最近第4次評価報告書(第一作業部会)を発表し、地球温暖化の原因を人間の活動とほぼ断定しました。これはかなりの認識の進歩を示しており、温暖化に人間の影響が顕著だと認めてしまえば、人間は某かの策をとらねばならないわけで、ブッシュ大統領の温暖化対策に対する対応の変化もこうした世間の潮流にのっている感があります。そこで実際問題、温暖化で地球はどうなるのかというと、次のようなことを挙げています。

地球の平均気温が今世紀中に1.8〜4℃上昇する(最悪の場合6.4℃上昇する)
海面水位の上昇、豪雨、洪水、干ばつが発生し、何億もの人々が自らの家から追いやられる。

大気中の二酸化炭素などの温室効果のある気体(ガス)の濃度が高まり、地球が温室のなかに入れられたように暖かい状態になることが「温暖化」ですが、これにより気候が変動し、一般にはより厳しくなり、生物の生存が脅かされることになります。私たちが現在直面している温暖化は、6500万年も前に恐竜が絶滅したとき以来、地球上の生物が直面する最も大きな絶滅危機なのだそうです。
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平均気温が1度上昇すると、世界各地で森林の成長に影響がでると言われます。
植物にとっては、大気中の二酸化炭素の増加は、それを使って光合成を行い栄養分を作り酸素を排出することを活発にするため、決して悪いことではありません。

しかし、温室効果ガスが増せば、地球の温度変化や気候変化が激しくなり、それについていけない植物がでてくることも確かです。種の孤立化や分断化、中には、枯死するものがでてきます。枯死が問題なのは二酸化炭素が発生するからで、例えば、現在地球の酸素の約1/3をまかなうアマゾンの森林は年間230万haの割合で消失しています。消失により酸素の放出が減るだけでなく二酸化炭素も排出します。特に燃焼はかなりの被害を与えます。これがさらに進むと、二酸化炭素がますます排出がされます。かなりの恐怖です。例えば1995年には地球全体の陸地の1/4が森林であったのに、今でも、年平均1,130万haの森林が失われているそうで、これは実に日本の面積(約3,800万ha)の約30%となり、本州の面積の約半分に相当します。このペースで進むと2025年には2割森林が減ります。
温暖化によって、一般に温度は高くなり、雨量は増加します。温度が上昇すれば寒さの制約も減り、耕作可能地が増し生産高も増える…なんだか一見良さそうですが、こうした利益は初期のころのみで、いずれマイナス面に逆転されるようです。

例えば麦や大豆などの作物は「高温障害」という危険が高まります。
これを防ぐためにいっそうの水が必要となりますが、雨は、降るところと降らないところ、降る時期と降らない時期の差が極端になり、豪雨の頻度も増すので、災害のおそれが高まります。北米大陸では、麦や大豆が壊滅的打撃を受け、北の大地ではツンドラの凍土が溶けて作物の収穫増が見込めても、もともと耕作に適した土地ではないので収穫量は思ったほど増えないようです。また、渡り鳥や昆虫などすべての生物のライフサイクルが気候に順応して変わってくると、受粉から有害生物制御まで新たな問題が起こってくる可能性がでてきます。他地域の植物が新しい地域では侵略植物となり、他を駆逐することもあるでしょう。
また、世界規模での農作物の収穫高増減は、私たちの食卓をも脅かします。
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イメージ 青々とビロードのような芝生、輝くばかりのスイセン、色の競演であるバラ、夏の鮮やかな青いデルフィニュームや田園の庭にぴったりのジギタリス…あこがれの庭の代名詞であるイングリッシュガーデン。この美しい庭園スタイルも温暖化の脅威にさらされています。イギリス・ナショナルトラストと王立園芸協会の発表によれば、今から50年ないし80年のうちに、イギリスの夏はより暑く乾燥した気候となり、ヤシやイチジク、オレンジがイギリスの庭で普通に見られるようになるだろう…といいます。霜はほとんど降りず、春が早くなり、一年中気温が高くなる。冬の雨が増え洪水の危険が増し、夏はより暑く乾燥したものとなり、渇水の危険がせまる。そしてやがて、イギリスのフリーウェイにヤシ並木が出現する…なんだかビバリーヒルズやフロリダのような光景が、世界のあちこちで見られるようになる…迫りつつあるのは、いずれ世界中が温室の中で農業生産やガーデニングをすることになる…事態なのです。

園芸や緑の観点から見れば、地域の平均温度が高くなると、従来ならば耐寒性が足りずに露地で越冬できなかった植物が、露地越冬できるようになります。しかしその代わりに、その地では、冷涼な夏に良く育つ種類の植物が見られなくなるのです。また、二酸化炭素が産業革命以前に比べて2倍になると、世界の森林の1/3で現在の植物種の生育が困難になり、気温が3度上昇した時点で、中緯度地方では植生帯が北に300km、高度では約300m移動すると言われます。

朝晩の寒暖の差や湿度の差、冷涼な気候が、繊細だけど色鮮やかな植物を生育させてくれます。パステルカラーやホワイトカラーの植物がもやの多い、淡い光線の中に映える美しい光景が、今から50年もたったら、すべて極彩色の光景にとって変わられてしまうのでしょうか?さらに、熱帯や亜熱帯に存在する雑草や病原菌、害虫などの有害生物が北上してくることも考えられます。50年後、100年後の光景が今とまったく違うかもしれないことを考えると、たいそう不思議な気がします。

日本でも今後30年で北海道以外の標高の高い地帯で亜寒帯が後退・消滅すると予測され、60年後には、ほとんどが亜寒帯であった北海道でも平野部は冷温帯となります。積雪は全国で減少し、このため北陸から新潟平野にかけては暖温帯になります。100年後には、本州の亜寒帯はほとんどなくなり、九州から千葉まで太平洋側は塗り絵の枠線のように、亜熱帯が出現します。
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イメージ もうひとつ庭で変わることがあります。それは季節を知る楽しみです。

庭で花を愛でること、これは庭を楽しむ王道と言えますが、日々の庭の楽しさはそれよりもちょっとした、自然界の変化にあるのではないかと思います。芽が出た、花が咲いた、蝶が飛んでいた、いい香りがした…昨日とは違う新しさ、ささやかな生命の息吹、それを見たり聞いたりして、私たちは季節の進み遅れや天候について観察しているのです。毎年繰り返される営みー生物季節というのですがーそれは、いつも私たちに新鮮な感動を与えてくれます。そして農業や土地管理、園芸を営むときの大切な判断基準となっているのです。それが地球温暖化で変化し、ほとんどの場合、通常よりも早い時期に起こるようになります。

例えば、早く花が咲いて実が生ることは、長距離を移動する渡り鳥に影響を与えることになります。通年そこに住む鳥にとっては、その多くが冬にも生き残れるようになり、春に生息地を利用する数が増え、繁殖力が増します。けれども渡り鳥にとっては、自分たちが着くころには、彼の地に十分な食べ物も住処も残されていないかもしれません。気候変動はそうして、種の相互作用を分断してしまいます。多くの生物が今までとは異なる連鎖を受けることになる…そうした未来がどのようなものになるのか、誰もまだはっきりとは描けないのです。

たとえば、桜の開花も早まっている気がします。今年の桜はいつごろ開花するのかな…私たちは自分たちの都合のために、開花時期に関心を持ちますが、その裏に潜んでいるのは、日頃目にする季節の営みが、知らないところから変わりつつあるということです。そう考えると、これに対策はあるのか、自分のできることはなんなのか、あるいは今という時期の貴重さなど…今年は桜を無心でみるだけでは、いられないかもしれません。

■参考資料■ 主要都市における過去10年の桜の開花日(1997〜2006) 

地点名 1997 9998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
函館 427 422 427 503 428 418 428 426 501 507
青森 423 416 426 429 423 414 420 418 429 501
仙台 408 408 408 413 410 329 409 407 414 413
新潟 407 406 406 412 408 330 406 402 414 411
長野 411 410 410 418 410 402 415 406 414 415
東京 321 327 324 330 323 316 327 318 331 321
静岡 322 321 321 330 323 315 321 318 329 317
名古屋 323 322 324 403 326 319 324 323 331 326
大阪 327 325 324 402 325 320 327 323 403 328
岡山 328 327 327 401 326 320 329 325 403 329
高知 315 317 319 327 321 317 318 319 331 315
長崎 318 324 322 326 322 319 319 323 401 322
那覇 120 116 202 118 117 115 121 117 119 113

地点名 平年値 最早値 最早年 最晩値 最晩年
函館 503 418 2002 523 1984
青森 426 414 2002 411 1984
仙台 412 329 2002 428 1984
新潟 411 330 2002 426 1984
長野 414 402 2002 426 1984
東京 328 316 2002 411 1984
静岡 328 315 2002 406 1984
名古屋 328 317 1990 411 1984
大阪 330 320 2002 410 1984
岡山 331 320 2002 410 1984
高知 323 314 1990 402 1957
長崎 325 315 1990 401 2005
那覇 119 104 1974 208 1995
気象庁ホームページより

過去10年を見る限りでは、開花がその時々の気候に左右されていることは非常に分かるが、年々早まってるとは断定できないようだ。


バックナンバー
監修:小出 兼久
NPO法人 日本ゼリスケープデザイン研究協会
URL:http://xeriscape-jp.org
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