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時代で変わる玄関の目的と機能 
〜来客重視の豪華さよりも、家庭を重視したスタイルが主流に〜
日本では「玄関は家の顔」という考え方が長く支配してきました。明治以前のある程度のレベルの家では、表玄関と裏玄関、来客用と家庭用に別れていました。特に来客用玄関の流れをくむ豪華さ重視の考え方は、1980年代まで浸透していましたが、最近では来客よりも家庭重視の傾向が強くなっています。




日本玄関の特徴
日本の家の玄関は、一般に建物が洋風建築であっても「履物を脱ぐ」という機能が必要なスペースです。玄関で留まることのない欧米の玄関とは機能がまったく違います。靴や下履きを脱ぐということは、
 1)そこに靴や下履き、他の物の収納スペースが
   必要になります。
 2)室内に泥やホコリが入らないようなつくりが
   必要になります。

最近の玄関プランの特徴
 1)出かける人の気持ちの切り替えの場としての機能。
 2)帰宅する人に安らぎを与える場としての機能。
 3)加齢対応という観点から、段差を低く、手すりや腰掛けの設置。
 4)玄関収納の充実。
 5)玄関ドアまわりの断熱仕様。
 6)玄関ドアの多機能化。
 7)断熱住宅として、玄関の吹き抜けを利用して2階に暖気や冷気を流す。
 8)玄関に対する考え方の多様化。

玄関設計のポイント
  1. 出かける人の気持ちを明るくするために、採光、雰囲気の暖かさの工夫が必要です。出かける人が身なりをチェックするための姿見用鏡も設置します。

  2. 帰宅する人が、ほっとする安らぎ空間として、照明やインテリアを工夫します。夏は涼しさ、冬は暖かさの工夫も必要です。

  3. 高齢者への対応として、上がり框の高さは工夫の見せ所です。ただ低ければよいのではなく、手すりや腰掛けを利用して安全に靴の履き脱ぎができるように工夫します。また、ノンスリップ床の採用や、明るさへの配慮、室内外の温度差を緩和してヒートショックを防ぐ工夫も必要です。いずれも高齢者ができるだけ自立して生活できる環境を整えることが基本です。

  4. 玄関収納は、履物、靴磨きセット、傘など濡れ物、土埃がつくもの、掃除道具、長い物、レインコート類、帽子、スポーツ用品、子供の遊び道具、認め印などを、スペースに合わせてすっきり収納できる工夫が必要です。
     ・天井までの収納、飾り棚の配置、花や絵画を飾るスペースの検討。
     ・足元灯、コンセント、脱臭換気扇など機能の充実。

  5. 住宅の断熱仕様は、玄関まわりもその対象です。土間床からの熱の放出防止、窓の断熱化、吹き抜けの暖気対流に配慮する他、断熱ドアの採用も重要ポイントです。

  6. 玄関ドアユニットの選定は、以下の点に留意します。  ・建物のデザインコンセプトに合わせたドアユニットの選択。
     ・ドアユニットとスペース・高さ寸法・床・
      外装材・内装材との調和。
     ・断熱、防犯錠、テンキー錠、カメラ付インター
      ホンなどの機能の充実。
     ・バリアフリー対応部品の選定。
     ・設計士の住宅イメージの確認。

  7. 玄関スペースは南玄関なら最もよい条件で、花や緑も育ちます。ただし玄関に対する考え方によって、設計ポイントは異なります。

     ・来客を迎える雰囲気重視派=飾り棚や生け花コーナーの設置。
     ・シンプル派=収納力、清潔感、採光等を優先した機能性重視。
     ・ステータス派=住宅の外観でステータス性を重視する場合、
      全体のデザインバランスを崩さない範囲で、
      ニーズに合ったユニットと外部仕上げの仕様を検討します。

玄関とアプローチ
 1. 門から玄関までのアプローチデザインは、トータルバランスが大切。
 2. 門から玄関の距離が短い場合のゆとりの工夫=直線を避け植栽を利用する。
 3. 門から玄関の距離が長い場合、好条件を活かしたレイアウトの工夫。
 4. 門塀に機能を持たせるか、玄関に機能を持たせるか、インターホンの位置などを検討。
 5. 門灯と玄関照明のバランスと、どちらを重視するかの検討。
 6. 勝手口がある場合とない場合のレイアウトの検討(隠したい物の置き場所等)。
 7. ガレージと玄関のイメージプランの検討。
  スペースが無い場合の工夫(自転車置き場等)。
 8. 和風、洋風の植栽も含めたデザインの検討。
 9. 玄関の位置、高さ、段差の有無と敷石、三和土(たたき)のデザイン。
 10. 玄関の外観に遊びを取り入れる=郵便受け、置物、植木鉢、傘立て、板木など。
 11. 風の強い地域の風除室、雨の日に雨に濡れずにコートが脱げるゆとりある庇。
 12. 表札のデザインの工夫=住む人の個性の表現手段の一つとして活用。